あめこい。
ぼー…っと。
ただ呆然としているようにも見えるその人は
なんだかふわふわしたオーラのようなものをまとった、
不思議な人だった。
ほんとに表情のない顔で自分の足を見つめたままだけど。
階段から落ちて
その動けない足のままで、
この人はどうするつもりなんだろうか。
…そう思ったら
「……乗って。」
そう言ってその人の方に背を向けた。
無意識に
なんか体が勝手に動いてた。
それから背中に重みを感じないまま、
「……細い、ね…」
その人のそんな声が聞こえた。