Fiore Zattera
セカンド・ピアット


ランチが終わり、更衣室で着替えて裏口へ出ると電話がかかってきた。

「もしもし」

『菱沼、どういうことだよ』

焦っているような声に事態が把握できない。何が、と問う前に相手が答えを出した。

『お前、結婚したならそう言えよ』

「……え」

『さっきお前ん家行ったんだよ。あの話は忘れてくれ、じゃあな!』

一方的に切られた電話。
……結婚だと?

急いで家に帰ってみると、幸の靴はなかった。部屋探しにでもでかけたのか、考えていれば玄関の扉が開かれる。

「あ、おかえり」



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