変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
2.

嫉妬だけなのか?

季節は六月。中庭に植えられた紫陽花が、少しずつ色づき始める。

中庭の花壇は、黄色やオレンジ色、ホワイトの百合が見事で、中庭に来て、花を眺めることが日課になった私の癒しの空間だ。

花壇の花たちは、社長プロデュースだ。配色が綺麗で、センスの良さを感じる。

今日は快晴。抜けるような青空で気持ちいい。ずっとここにいて、花を眺めていたい。


コツ…


靴音が聞こえ、私の腰掛けるベンチに座る気配…

そんな事する人は一人しかいない。


「百合が好きなのか?」

「ええ、好きよ」

「仕事は楽しいか?」

「まだ楽しいとは言えない」

感情が分かりづらい男をジッと見る。

「頑張って、行けるとこまで行ってみせる」

まっすぐに男の目を見つめる。

「楽しみにしてる」

私の頭に軽く手を乗せ、少し笑った。

笑顔……久しぶりに見たかも。



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