私を見つけて
いくつかの嘘
自分のお父さんについて、詳しく語れる人ってどれくらいいるのだろう。

誕生日は知ってる。
だけど、今何歳かと聞かれたら、正確に答える自信がない。
確か、四十八歳か四十九歳。五十歳にはなってなかったはず。

仕事は、健康器具の会社だったと思うけど、そこでなにをしてるかまではよく知らない。

毎朝、同じ時間に起きてきて、食パン一枚とスライスチーズ一枚、りんご四分の一にブラックコーヒーという、いつも決まった朝ごはんを食べて、ひげを剃ってスーツを
着て会社に行く。

帰りの時間はいろいろ。早くても八時。
遅ければ十二時くらい。

タバコも吸わないし、お酒はたまにビールを飲むくらい。

趣味は……なんだろう。知らない。
仲が悪いわけではけしてない。

朝はおはようと挨拶するし、帰ってきたらおかえりくらいは言う。

あんまり叱られた記憶もない。
そのかわり、ものすごく褒めてもらった記憶もない。
一言で言えば、家族に対して無関心。
だから、私もお父さんに対して無関心。

お母さんの話に「ああ」とか「うん」とか聞いてるんだから聞いてないんだか、よくわからない相槌を打っている姿を見ていると、どうしてこの二人は結婚したのかな、ってたまに思う。




< 28 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop