冬の魔女と日だまりの姫




初めて“孤独”という感情を知ったのです。初めて自分の境遇を嘆きました。


「寂しい……」


初めて口にした言葉でした。

自分は今、寂しいのだと気づきました。


幸せなラストシーン。自分には、決して訪れることのない幸せ。


魔女にとって、それは辛いものでした。


閉鎖された、自分しかいない冬の世界が当たり前なのだと思っていました。


それなのに、そうではない世界を目の当たりにして、魔女はひどく悲しくなりました。

魔女は、自分の心の中に、重苦しい何かが生まれたのを感じました。

心に靄があるようで、胸が苦しくなりました。魔女は思いました。


“これはきっと本のせいだわ”


そして、その本によって心に生まれた、新しい感情をどうしたら良いかを考えました。


まず、この心の靄がなんなのかを知りたいと思いました。



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