百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


「…行かない、なんて言うと思いました?」


僕の言葉に、芝さんが目を見開く。

僕は、芝さんを見つめながら続けた。


「詠ちゃんを迎えに行きます。

………何があっても。」


『……!……周………。』


芝さんが呟くと

相楽くんと雅くんも僕に続いた。


「仲間は見捨てられない。

佐伯には、たくさん助けられたからな。」


「俺も行く。

…詠がさらわれたのは俺の責任だから。」


芝さんは、僕たちの決意が固いのを見ると、目を伏せて、覚悟を決めたように答えた。


『…わかった。

…お主らを妖界に連れて行こう。』


その時

ザァッ!!と強い風が辺りを吹き抜けた。

バン!と本堂の障子が自然に開く。


!


驚いて目を見開くと

次の瞬間

僕たちの体がふわり、と浮き上がった。


「な……何だこれ!!」


相楽くんが声を上げると

芝さんがぎゅっ、と眉間にシワを寄せて叫んだ。


『皆の者、歯ァ食い縛れーっ!

“向こう”に吸い込まれるぞ!!』


!

えっ?!


と、その時

ぐわんっ!と、僕たちの体が本堂に向かって引き寄せられた。


っ?!


そしてそのまま、障子の奥の世界へと
吸い込まれていく。


こ………これ………

妖界に辿り着く前に、死ぬんじゃあ……


思いがけない力に、体がこわばった瞬間

僕の意識は、プツ、と途切れた。



《周side終》
< 432 / 512 >

この作品をシェア

pagetop