百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
…まだ、そんなことを言うの…?
私は、顔を上げて遥を見つめながら、はっきりと言い放つ。
「嫌……!私はここから出な………」
次の瞬間
遥が、ぐっ!と私の手を引いた。
体が、遥に向かって倒れ込むように引き寄せられる。
「────行け、詠。」
遥がそう、言った瞬間
遥が、ぐっ!と私に近づいた。
…!
遥が、そっ、と目を閉じた時
確かな、柔らかな感触が私の唇を塞いだ。
さらり、と綺麗な藍色の髪の毛が私の頬に触れる。
「……んっ…………!」
どくん!
心臓が、大きく音を立てて、世界が一瞬、時を止めた。
……何も、聞こえない。
「……っはぁ………。」
遥に塞がれた私の唇から呼吸が漏れて
遥が、すっ、と私から離れた。
そしてゆっくり口を開く。
「詠……俺、お前に会えて、よかった。」
………!