居場所をください。



「それより、今から1時間半くらい空きだけど

CD、届けに行くんじゃねーの?」


「あぁ、そうだね。

長曽我部さんは?来てくれる?」


「しかたねーな。」


「ありがとう。」


私は長曽我部さんの車で

施設へと向かった。


ここには昼間しかこれないから。


「ただいまー!」


施設に入るなり大声を出すと

出迎えてくれるみんな。


「おかえり、美鈴。」


「ママ!ただいま。」


ママは見たことない赤ちゃんをつれていた。


「……………その子は?」


「先月終わり頃来たの。

新しい家族よ。」


「……………そっか。」


どうしていつまでたっても

子供を捨てる親はいなくならないんだろう。


命懸けで産んだんじゃないの…?


「名前は?」


「優しく輝くで優輝。」


「優輝くんかぁ。

名前は誰が?」


「親。手紙と一緒にね。」


「そっか。

優輝くん、よろしくね。」


まだなんにも知らない赤ちゃん。

この子は一体どんな苦悩を抱えて

これから生きていくんだろう。


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