居場所をください。



帰りの電車ではしっかりウィッグと帽子をかぶり

少し混雑した電車に乗り込んだ。


「また来ような。一緒に。」


電車の外に見える遊園地を見ながら

貴也が言った。


「うん。約束。」


「あぁ。」


電車で30分、そこまで遠くはない

小さな遊園地は私たちのお気に入りだ。


「お腹すいたな~。」


「ハヤシライス食うの?」


「食べる。

長曽我部さんには内緒ね。」


「珍しいな。

長曽我部さんに逆らうなんて。」


「逆らってない。

聞いてないだけ。」


「一緒だろ。」


「明日筋トレするから。」


「筋トレかよ。」


「掃除もするし。」


「まぁジムも行けねーしな。

外出禁止令が出てるなら。」


「家でやるしかない。」




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