居場所をください。



「ねー、美鈴ちゃん。

俺にはー…」


私と亜樹が連絡先交換してるのをみて

颯太が言う。


「……………私、あんまり返せないよ?」


「大丈夫!俺連絡するのとかめんどくさくて

しつこく連絡したりしないから!」


「そうなの?

じゃあいいよ。」


「やったー!ついに!!」


「その前に移動しねー?」


………確かにいつまでももんじゃ屋さんにいるのは

どうかと思うね。


「どっかファミレスとか喫茶店とか。」


「美鈴ちゃんが行ってるとこがいい!!」


「えー…」


「お願いお願いお願い!!」


「……………わかった。」


颯太は折れてくれなさそうだし

うるさいからさっさと移動することにした。


「タクシーでもいい?」


暑いとこ歩きたくないし。


「じゃあ拾ってくる!!」


と颯太が駆け出した。


「藍子、昨日は帰った?」


亜樹に話しかける。


「23時頃だけどちゃんと帰ったよ。」


「そう、よかった。

藍子と岳人ってどうやって知り合って

どうやって付き合ったの?」


「岳が突然藍子を連れてきたんだよ。

なんでそうなったかはわかんねーけどな。

でも藍子は俺らと仲良くしようとしねーし

俺もよくわかんなかったんだけど

岳人が珍しく面倒みて藍子も段々笑うようになって

藍子がコクって岳がOKしたって感じ。」


「ふーん…。」


「岳は昔から孤独なやつの面倒

みる方だったからな。」


「亜樹はいつから岳人と一緒に?」


「俺らは幼稚園から。

俺の両親共働きで母さんが迎えに来るまで

岳んちで世話になってたのを今でも覚えてる。」


「じゃあ面倒見いいのは

亜樹からなんだね。」


「そうだな。颯太もそう。

颯太んちは父さんがパイロットで

世界中飛び回ってる。

母さんはCAだったけど

俺らがガキの頃に飛行機事故で。

あの広い家に颯太はいつも一人だ。」


「あの広い家?」


「颯太んちは金持ちで家もでかい。

まぁパイロットだし機長だし

儲かってんだろうな。

でも颯太のことはほったらかし。

あいつも岳に救われたってわけ。」


「……………じゃあ朔也とか悠斗も?」


「あいつらは違うな。」


「そっか。

まぁ朔也は違う気がするけど。」


「岳は母親は身障者なんだ。」


「え?」


「手術はしたんだけど

後遺症が残ってて右半身麻痺で

うまくしゃべることもできない。

前は元気だったんだけど最近事故で。

反抗期だった岳も一気に落ち着いて

おばさんのサポートをおじさんとしてる。

一回それがいやになってたんだけど

藍子と知り合って、事故で親を亡くした藍子に比べたら

俺なんか甘えてるだけだよなっつって

そっから生まれ変わったんだよ。」


「へぇ…。」


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