居場所をください。



「ちゃんと前髪つけろよー。」


車に乗ったと同時に長曽我部さんが言った。


「はーい。」


この人はバレたときが面倒だというので

できる変装は一応しておきます。


「そうだ、これ。

隼也の映画がもうすぐ公開されるんだけど

隼也がこの前のお礼に美鈴に渡してくれってさ。」


「この前のお礼にってけっこう前じゃん。

でもありがたくもらっときまーす。」


映画のチケットか。誰といこう。

ま、無難に夏音か。


無理なら朔也でも誘っていこ。

高橋でもいいか。


「……………orange…。

どんな映画なの?」


「青春映画。

男向けだな、たぶん。

でもイケメン揃いだから

そういうとこでは女向けかも。」


「ふーん。

隼也は主役?」


「そ。暴走族の頭役。」


「えー!似合わない…。

あんな爽やか系イケメンが。」


「それがまたギャップでいいんじゃねーの?

俺も見てないからわかんねーけど。」


「じゃあ長曽我部さん一緒に行こうよ。」


「夜ならいいけどそれだと美鈴がダメだからな~。

美鈴が行ける時間だとちょい無理。」


「えー残念。」


「美鈴も18になったらな。」


「ま、誰か誘っていくしかないか。」


夏音にメールしとこ。



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