居場所をください。
ライブツアーに向けて。
心機一転。
私が貴也の思ひ出と一時的に離れてから数日
私はやっと髪の毛を切れたのだ!
「長さはこれくらいで平気?」
「そうだな。ボリュームも出そうだし。
前髪は揃えて分け目なし、つむじからフワッと。」
指示するのは全部長曽我部さん。
私は座ってるだけなのだ。
「……………どうよ。」
「いい。さすがだな。」
この二人は高校の頃からのお友だちらしくて
この美容師さんは絶対に元ヤン。
モヒカンだし。…………偏見か。
「色はどうする~?」
「ベースは金。かなり明るくして春っぽく。
前髪はここらへんからざっくりと
いつもより明るめの茶色。」
「おっけー。
今回は茶髪面積ひろめだな。」
「分け目がないからな。」
「じゃあとりあえず一回洗って乾かしてから
がっつり明るくするね。
ひかるはどうすんの?待ってんの?」
「おう、いる。
コーヒーおかわり。」
「はいはい。
美鈴ちゃんは?ミルクティーまだ飲む?」
「あ、はい。」
「美鈴はもう砂糖なしな。」
「インスタントだからそういうのできねーんだけど。」
「ならコーヒー。ブラックな。太るし。」
「厳しいマネージャーだな。
はいはい。」
そういって一旦美容師さんは消えた。