居場所をください。



「まぁさ、

お前にとって糞みたいな世界かも知れねーけど

お前を待ってるやつもいるんだから

少しは考えろよ。な?」


「……………はいはい。」


「それに、美鈴だってずっと待ってるし。」


俺がそういうと貴也は黙った。

どうせ美鈴のことを考えてるんだろうけど

今さらどんな顔して会えばいいのかわかんねーのかな。


「そういや美鈴とライブのあと

ここに行こうって誘ったんだけど

美鈴が拒否ったんだけど。

マスターなんか変なことしたんじゃねーの?」


「いやー、実はな「は?」


マスターが冗談を言おうとすると

貴也はすげー顔でマスターを睨んだ。


「……そんな怖い顔すんなよ。

別になんにもしてねーよ。」


……………こいつ、どんだけ美鈴のこと好きなんだよ。

そんな好きなら会いに行きゃいいのに。


「で、なんか知ってる?」


「あぁ、貴也との思い出の場所だから

来るのをやめたんじゃねー?」


「なに、別れたわけ?」


「……………知らねーよ。」


はぁ?なんだそれ。

どっちだよ。


「貴也との思い出にすがりつくのをやめて

ただ前を向いて貴也の帰りを待つ

ってところかな。」


「あぁ、なるほどねー。

そうだよな。

貴也まだその指輪してるもんな。」


「見てんなよ。」


「見えちゃったんだよ。」



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