居場所をください。



「ちゃんと伝えたい人に伝わってれば

それでいいんだよね。」


夏音にも私の思いが伝わればいいのに。


「その真っ直ぐさが

きっとうざがられるんだろうな、美鈴は。」


「はは、理不尽。」


「でも、意味もなく

いじめられてるやつなんかいねーよな。

いじめられてるやつは

そいつにも原因はあるしな。」


「つまり私にも原因はある、と。」


「一高時代の美鈴、まじでひどかったからな。

俺も最初嫌いだったし。」


「あー、ひどい。」


「美鈴がな。

なんであんな人を見下した態度だったんだよ。」


「施設育ちでいじめられる人

あんまりいないんだよ。

みんなが親に捨てられた訳じゃないから。

両親が死んじゃった子とかはさ

むしろ同情されたりもすんの。

なんでだろうね、そう情報って

みんなに筒抜けなんだよ。

私が親に捨てられたって。

どうせ可愛くないとか生意気とか

すごい手がかかるとか

そもそも親に愛されてないとか。

可哀想な子供ってバカにされるんだよ。

高校では私の態度の悪さが先だったかもしれない。

だけど今までそうやって言われてきたから

そうやって親に甘えてるやつらは

みんなクズだと思ってた。

そんなやつらに負けてたまるかって。

強くいなきゃって。

真面目に相手しててもくだらないから。

ずっとそう思ってた。

愛とか友情とかくだらない。

そんなのにすがるより、早く大人にならなきゃって。」


私はずっと愛というものから

遠ざけて生きてきた。



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