居場所をください。



私は寝室で弘希のために服を出している

貴也の背中に思わず抱きついた。


「どうした?」


「私にも家族がほしい。」


私がそういうと

貴也は少しだけ固まったけど

すぐに私を前から抱き締めた。


なにも言わないけど

今の私にはそれだけで満たされる。


「……これ、置いてくるな。」


貴也はそれだけ言って

お風呂へと向かった。


私は仕方なく、一人でソファ。


貴也から離れると

やっぱり私の心はまたカラッポ。


私にはいない。

私を怒ってくれる人が

私にはいない。


みんな仕事の付き合いでしかない。



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