居場所をください。


翌日ー


私と貴也は一緒にスタジオ入り。


「美鈴は午後からライブの打ち合わせがあるから、

撮影押すなよ。」


「打ち合わせ?」


「打ち合わせっつっても、ダンサーたちとな。

各自ダンスを考えてきたから確認と、

美鈴がどれを踊るかとか。

ポジションとか動きの相談だな。」


「あぁ、それか。りょうかーい。」


「俺は会社戻るけど、佐藤がいるからいいよな?

じゃあしっかりな。」


ってことで、長曽我部さんに送られ、

私たちは仕事に向かった。


「おはよ。」


「あ、矢島くんおはよ。」


「今日、よろしくね。」


「あぁ、うん。よろしくね。

緊張するけど拒否らないでね。」


「はは、そりゃ仕事だからね。」


矢島くんとのキスシーンは初めてじゃないけど

自分からしなきゃいけないのが本当に

恥ずかしくてたまらない。


ほんっと役者ってすごいよなぁ…。


「ねぇ、貴也。

キスシーンのコツとかってないの?」


「相手を意識しないこと。

マネキンだと思え。

もしくは役になりきる。

あいつを好きだと錯覚する。」


「…貴也は後者でやってんの?」


「俺は意識しないっつーか、無心。

大したことじゃない。

どうでもいいって感じ。」


ふーん…



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