居場所をください。



「どこに行くわけ?」


俺が亜樹とか言うやつに聞けば


「あいつの目を覚ましてくる。」


「は?」


亜樹はさっさとタクシーを拾い

どこかへ行った。


「俺らも行こう。

美鈴、待ってるだろ。」


「…そうだな。」


俺らも車に戻って

第一高校へと向かうことにした。


「夏音と美鈴は

夏音がいじめられてるのを

美鈴が助けたのがきっかけで仲良くなったんだよ。

その時は体育館裏の細い通路…

登下校時間は他の生徒も使う通路なんだけど

それ以外は誰も使わない通路があって

そこで夏音がいじめられてた。

美鈴はいじめてたやつに

そんなダサいことやめろって言ったんだよ。

…………だから、なんとなくだけど

夏音はもっとキツいことを

美鈴にするんじゃねーかなって。

ダサいなんて言われないほど、きついことを」


「車で連れ去るなんて

はっきり言って犯罪行為だろ。

もうすでにダサいなんて一言では

済ませれなくなってる。」


「美鈴もいじめられてたし

いじめられ慣れてるところもあるし

やるなら徹底的に、なのかもな。」


「頭おかしいんじゃね?」


「まぁ温室育ちだからな~。

なにしても親が守ってくれるって

思ってるところはあるのかも。

あいつは誰よりも考えたことがねーんだよ。

いつか親が守ってくれなくなるって現実を。」


…………一般的な考えじゃねーのかな。

その被害に美鈴が遭うなんて絶対許せねぇ。



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