居場所をください。



「すぐに警察が来る。

観念するんだな。」


大和が冷静にこの男にそういうと

男は何かが切れたように暴れだし、

ポケットからナイフを取り出した。


「……そんなもんが、

俺らに通用するとでも思ってんのか?」


そんなものは怖くない。

ナイフを振り回してた俺らが

こんなやつが振り回すナイフなんか

怖くも痒くもない。


「…ああぁぁぁぁ!!」


そう叫びながらナイフを振り回しながら

俺に向かってくる男を


「ぐっ…!!」


大和が蹴り飛ばした。


倒れた男の手首を

俺は踏みつけて、ナイフを手から離させた。


「……やめて。」


だけど、そんな俺らを

美鈴が止めた。


「…………ごめん、和也。」


美鈴は、辛そうな顔をして

倒れたこの男に近づいた。


「美鈴、あぶねーから」


「大丈夫。

…和也は和也だよ。」


美鈴が俺を見つめてそういうから

俺はもうなにも言えなかった。


< 3,704 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop