居場所をください。
「美鈴。」
「あれ、貴也。なにしてんの?そんなとこで。」
エントランスを入ったロビーにあるソファに
貴也が座っていたんだ。
しかも変装なしで。
まぁ時間も時間だけどね。
「待ってた。」
「え、私を?」
「あぁ。
テレビ、すげーよかった。」
「ふふ、ありがと。
それだけのために?」
「まーな。」
「ありがと。
貴也も噂がすごいね。」
赤堀さんととられてから
貴也に会うのは初めてだ。
「付き合ってない、とは言えないからな。」
「いいお友だちです。だもんねー。」
「まぁ映画が終わるまでの辛抱だな。
さっさと終わらせたいわ。」
「それより私とここにいちゃだめでしょ。
上行かないの?」
「あぁ、行く。」
私たちは一緒にエレベーターに乗った。