未来が見えない『Previously invisible』

俺は、姉の病室に向かった。

直ぐに、院長夫人が月紫を
連れて来てくれた。
「たっくん、ママは?
ママ?大丈夫なんだよね。
お父さんは、毎日ママを殴るの。
ママは、月紫が殴られないように
いつも、守ってくれたの。
お父さんは、なぜママを
殴るの?嫌いなの?」
と、言った。

院長夫人も、院長も
月紫の話を聞いて
涙を流した。

「月紫、ごめんな。
たっくんが、助けられなくて
ママは、しばらく入院になるんだ
治療に専念しないと
いけない。
月紫は、ほのかちゃんのお宅に
行って、いられるか?」
と、月紫が不安に思わないように
話すと
「たっくん、月紫がママのそばにいたら
じゃま?」
「邪魔じゃないよ。
だが、先生方が沢山出入りする
から、と思ったんだ。」
と、言うと

「うん、わかった。
でも、たまには来てもいい?」
「ああ、構わないよ。」
と、言うと
院長夫人が
「五十嵐先生、その方の所
ばかりでは、大変だから
私のそばにおいては?
ねぇ、月紫ちゃん。」
と、言うと

「おばちゃまの所にいる。
たまには、ほのかちゃんの所に
行っても大丈夫?」
と、言った。

俺は、
「ありがとうございます。
ご迷惑おかけして、すみません。」
と、言うと
「なにいってるの。
こんな可愛い、月紫ちゃんと
過ごせるなんて。
息子は、でかくなった上に
世界中を飛び回っていて
結婚もするか、どうか
わからないし‥‥‥
あら、ごめんなさい。
愚痴で。」
と、院長夫人がウィンクしながら言うから
月紫と二人で笑った。
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