ボーイズロード ―first season―
♢1章 若月智絋
3月14日。中学生活では最後のホワイトデー。


今現在、俺はそわそわしながら、帰りのホームルームが終わるのを待っている。 

髪を触ったり、きょろきょろしたり、とにかく落ち着きなく動いていたから、後ろの席の人はきっと、トイレを我慢してるって誤解されたかも。


そもそも、落ち着かない原因はカバンの中にあるんです。

朝の時点では、個別にラッピングをしてもらった4つのクッキーが、教科書と一緒くたになって入っていたんだよね。


内訳は、あからさまに義理って感じのチョコをくれた、クラスの女友達にあげる3つのクッキーのほかに、多分本命だなと思ったチョコのお返しが1つ。


義理チョコのお返しは、昼休みのうちに適当に返してきたんだ。

せっかくのラッピングも、カバンの中でぐちゃぐちゃにしてしまったせいで、リボンがほどけたんだけど。


それでも一応は喜んではもらえたから、まあ良い。所詮は義理だし。ていうか、リボンなんてスズランテープでも良かったくらいだよ。


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