ボーイズロード ―first season―
♤3章 渡部賢太
そこは間違いなく俺の席のはずなんだが、なぜか子ザルみたいな奴が携帯をいじりながら座っていた。なんなんだろうか、こいつは。


「……そこ、俺の席だけど」

「え、まじ!?」


子ザルは黒板に貼ってあったクラス名簿を確認してから、慌ててカバンごと一つ前の席に移った。こいつ名簿見てなかったのかよ。

まったく、初日からやめてほしいわ。


「ごめんごめん。出席番号順だと、俺もいつも最後だったからさ。

えっと、ワタナベ?ワタベ?」


「……ワタベ」

「まじでごめん、俺、若月っていうから!よろしく!」


こいつの名前なんてどうでもいいし、俺の名前だって教える義理はないのだが、別に答えない理由もない。


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