ボーイズロード ―first season―
♡24章 オレンジ
茜はあの時ちょっかいをかけてと言っていた。つまりは、そんなに嫌われてなかったってことでいいんだよね。

実はバスの中であいつの手を握った時、俺は自分で余裕のあるふりを演じたんだ。


なんだかんだ言って、女と遊んでいた経験は無駄にはなっていない。

過去の経験から、俺がああやって女の手を握ると、大抵の女はときめいてくれていたんだ。


同じように茜のことを、どきどきさせてみたかった。

いつものように手を絡ませて、優しく爪を撫でる。


一瞬茜もこわばったようだが、だけど手を繋いだ瞬間は、予想外に俺のほうが緊張してしまったんだ。

茜の手は他の女達のそれとは違うことを、まさかこっちが思い知らされることになるなんて。


だけど手を離したらこっちが負けてしまうから。

手のひらにじんわりと汗をかいていたこと、気づかれてなければいいけど。

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