ボーイズロード ―first season―
♡33章 大切な人
学祭の準備で校内はどこも賑わってる。ていうよりは、浮かれている感じの方が近いのかも。実際俺も、こういうお祭りっぽい雰囲気は結構好き。


準備期間の放課後は作業の進捗状況にもよるけど、俺らのクラスはのんびりしていて、毎日作業時間ぎりぎりの六時までやっているんだ。


今日も俺らはグラウンドの隅っこで山車を制作していた。五時。そろそろ集中力も切れてくる頃だ。

さっき賢太くんが飲み物を買ってきてくれたのに、もう空っぽになっている。


グラウンドの反対側では、吹奏楽部がパレードの練習をしていた。


「あー疲れた。琢ちゃんどこかな」

「おいニーナ、また休憩かよ。琢なんてシンバルだからすぐ見つかるぞ」


賢太くんの言った通り、琢ちゃんはすぐ見つかった。

「ほんとだ、いた。頑張れ琢ちゃん」

「こんなとこでつぶやいてたって、あいつには聞こえてないっつうの。お前がサボってっから全然進んでねーんだよ」

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