ボーイズロード ―first season―
✽39章 彼のこと
少しだけ寒い夜空に花火が次々と打ち上がっていくのを、私はただぼんやりと眺めていた。

突然繋がれたその手は、拒むことができなかったんだ。


目線は花火の方に向いていたけど、意識は自然と繋がれた手に集中してしまう。


さっき賢太くんがあおちゃんを追いかけていった、その淋しさを紛らわせるためだけじゃないと思う。

だからといって、雰囲気に流されたわけでもない。


強く握られたその手は大きく脈を打っていたんだ。


その一定のリズムに乗せて、若ちゃんの切なさが私の身体の中にも沁みこんでいく気がしたから。

彼がその手に力を込めるたびに、彼の抱えている不安がどっと私に押し寄せてくる。


『離さないで……』


そんな声までもが聞こえてきそうで……

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