婚約者は高校生
「あいにく暇じゃない。これから婚約者を家まで送るからな」


『え?婚約者って…例の女の子?』


「そうだ。まあ、そのことで話があるから後でかけ直す」



不本意だが、彼女を大人に見えるようにするためには春香の協力が欠かせない。
仕事柄流行に敏感だし、そのメイクの腕は確かなものだということもわかっているしな。

例の女の子だと知った途端、



『分かった!それじゃ楽しみにしてるね~』



春香は先ほどまでの縋るような声とはうってかわって楽しそうな声を上げて電話を切った。

はぁ。これはまた根掘り葉掘り聞かれそうな気がする…。



「…仲がいいんですね」



携帯をポケットにしまうと、その様子を見ていた彼女がやや低い声でぽそりと呟いた。

は?仲がいい…?俺と春香が?
もし男女の関係だと思っているなら冗談でもやめてくれ。

冷めた目で彼女を見ると、何かに気付いたのかハッとしたような顔をした。



「す、すみませんっ。多賀さんが誰と仲良くしていても私が何か言う立場にいないのに…」



まあ確かにホンモノの婚約者だったら言う権利はあるし、知る権利もあるかもしれない。だが彼女はまだ仮の婚約者だ。権利はないが、そんなことを言い出すとは…多少なりとも俺のことが気になったのか?

ふぅん…なるほど。悪い気はしないな。じゃあどこが気になったのか教えてもらおうじゃないか。




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