クレーマー
あたしに忠実な果歩はいつも屋上へ呼び出していたから、こうしてイジメ便所を利用するのは初めてのことだった。


「な……なに?」


青ざめた果歩が聞いてくる。


「『なに』じゃねぇんだよ。お前、調子に乗ってるだろ」


そう言って果歩の肩を押すと、果歩は簡単にその場に倒れ込んだ。


太っているから体のバランスを取るのが難しいのだ。


慌てて起き上がろうとする果歩の頬を踏みつけて、トイレの床にこすり付ける。


男女兼用だからオシッコが跳ねている床だ。


「やめて……」


果歩は小さく声を上げる。


弱味を握られているため、本気で声を出して助けを求める事ができないのだ。


「なに? 聞こえねぇよ」


あたしはそう言い、汚物入れに手を伸ばした。


今日は誰も使っていないかと思ったけれど、ナプキンが1つだけ入っている。


あたしはそれを袋ごと取り出し、果歩の口にねじ込んだ。


血の匂いがナプキンから漂ってきて、果歩がむせる。
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