クレーマー
☆☆☆

夕飯を終えたあたしはシャワーだけ浴びてすぐに自室へと戻った。


お父さんとお母さんが面白いテレビがあると誘って来たけれど、テスト期間中のあたしはテレビを見るわけがなかった。


1年の一学期だけれど、ここでクラスメートたちを引き離しておきたい。


そしてそのまま卒業まで持ち込めれば、みんなよりランクの高い大学へ進学することだって夢ではないのだ。


あたしは机に向かい、化学の教科書を開いた。


数学と似た部分のある化学は得意だ。


しかし、のんびりした性格の両親と顔を突き合わせたことで、あたしの集中力は再び途切れていた。


簡単な問題を前にしてもペンが進まない。


答えは分かっているのに、問題を解く気分になれないのだ。


しばらく問題と向き合っていたが、あたしはペンを置いてため息を吐き出した。


どんな状況でも人のせいにせずに集中できる力が、あたしには足りないようだった。
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