クレーマー
とても青く澄んでいて、心地のいい天気だった。


あたしは自分が店員にクレームを入れている時の事を思い出していた。


冷静な自分。


わざと大きな声を出してやろうと思い、クレームが入れられる状況を自分で作り出している。


人を怒ることが怖いなんて思ったことは、今まで一度もなかった。


「なんとなくわかるよ」


あたしはほほ笑んで、そう返事をした。


きっと花梨はお父さんと同じような人間なんだろう。


人と競争することを嫌い、いいところをすべて他人に持って行かれて、自分はずっと平社員のまま。


あたしはそういう人間にだけはなりたくないが、花梨ならそれがよく似合う。


「そろそろ行こうか」


花梨が食べ終わったのを見て、あたしはそう言ったのだった。
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