クレーマー
あたしは単純に過去問題を解答していくだけだったけれど、京一郎はそこから今年テストに出る問題を分析しているのだ。


そしてそれは見事に当たっている。


随分と沢山の過去問題を入手していないとできないことだ。


「すごい……」


思わず感動すらしてしまったあたしは、そんな単純な感想しか言えなかった。


何をどう表現していいのかわからない。


こんな気持ちになった事も生まれて初めての事だった。


「そんなに褒めてくれるなんて嬉しいな」


京一郎はそう言って頭をかいた。


「これを使って勉強すれば、あたしにでも女子で1位になれるかな」


チラリと京一郎の反応を伺ってそう聞いてみると、京一郎はアッサリと「なれるよ」と、返事をした。


あたしはその言葉に目を見開く。


あたしが1位になるということはこの美が落ちると言う事だ。


自分の彼女の成績が落ちる事をそんなに簡単に認めてしまう京一郎に、あたしは唖然とした。
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