御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「・・・・あ・・・・のあ?おい・・・・のあ?」

どのぐらい眠っていたのだろう。ドアの向こうから鈴城君の声が聞こえて

目が覚めた。

「はい・・・」

小さく返事をしたが鈴城君の耳には届いていないのかもう一度名前を呼ばれ

私はむくっと起き上がるとベッドからおりる。

横になる前よりも遙かに身体が重く、しかも今度は寒気までプラスされてて

完全に絶不調だ。

それでもなんとかドアを開け顔だけ出す。

「ごめん・・・寝てた。おかえり・・・・カレー作ったから暖めて食べて」

身体がだるくて視線もどこに向いているかわからない状態で鈴城君の

顔も見ずに用件だけいうと、ドアを閉めようとするが

鈴城君が反対側のドアノブを握っているのだろう。

ドアが閉まらない。

「鈴城君?」

力なく名前を呼ぶとドアが思いっきり開いて、私は引っ張られるように

前のめりになった。

だけど踏ん張りがきかない。やばいこけちゃう。

「おい!のあ?大丈夫・・・・ってのあ?」

鈴城君が驚いた声を出しながら私を受け止めてくれたが私はお礼を言える余裕がない。

何で急激に体調が悪化したのだろう。

何も掛けないでベッドで眠ってたから?

だめだ頭がほわっとするし、なんかめっちゃくちゃ寒くて何も考えられない。

「なんか・・・すごく・・・さむい」

うわごとの様に呟く。

なんか鈴城君が私の頭上で何か言っているような気がするけど

だめだ・・・・バッテリー切れです。

まるで電源が切れるように私の頭の中は真っ暗になった。

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