御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
しかし・・・居酒屋で婚姻届けって・・・聞いたことがない。

私の思い描いていたイメージは

夜景のきれいなレストランで食事をした後

いつもよりちょっとリッチなホテルで・・・とか

彼もしくは彼女の部屋で

うれしはずかしドキドキしながら婚姻届けを書く二人・・・

だったのにな~~

がやがやとうるさい居酒屋のテーブルだし・・・

愛情ゼロだと扱いも雑なんだと身をもって知った。


でも愛情がなかろうがこれ書いたら私ってば『鈴城のあ』になるのね。

そう思ったらやっぱり手が・・・手が・・

震えそうになる手でミスしないように慎重に書いた。




「はい・・・書けました」

自分の名前を書くだけなのにこんなに緊張するんかい!

しかも私は鈴城君の事が大嫌いということになってるから

仕方がないという顔をしないと本心がばれる。

「ふ~~っ。じゃあ・・・のあの希望通り明日区役所に行って出してくるわ」

「えっ・・・」

今、さらっとのあって言った?それとも私の空耳?

「何?明日がいいって言ったののあだよね」

ぎゃー!やっぱりのあって言った。

ドキドキのバクバクだよ。(顔に出したらアウトだけど)

って興奮するのはまだ早い。そんなことより

「いや・・・その言い方だと・・・区役所へは一人で行くのかなって思って」

「ん?あ~~。別に一人で行こうが二人で行こうが提出するだけでしょ?
好き合ってるわけじゃないし・・・夫婦っぽくするのは会社だけでいいから
婚姻届けは俺一人でいいよ」

婚姻届を書いた直後に愛情ゼロな言い方にへこむ。

「・・・そう・・・だね」

としか言い返せなかった。

だって私は鈴城君の事が大嫌いって事になっているんだもん。

一緒に行きたいという方が違和感を覚えるよね・・・・・
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