御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
私がキッチンでカレーを温めていると

パーカー付きのスウェットの上下に着替えた鈴城君がカレーの匂いに誘われるように

キッチンに入ってきた。

「もしかしてカレー?」

「うん・・・流石にカレーで1人前を作るのは難しいでしょ~。
気に入るかわかんないけど食べる?」

鈴城君は鍋に顔を近づけ匂いを嗅ぐと嬉しそうに食べる食べる!と何度も頷いた。

こんなうれしそうな顔をしてくれるなら

毎日ご飯作ってあげたい!って思うんだけどね・・・・・

鈴城君は食器棚から皿を出しながら「それで?相談ってなに?」と聞く。

「う・・・うん・・・・」
内容が内容なだけに歯切れも悪くなる。

「ん?どうした?もしかして誰かに何か言われた?」

私が言いにくそうにしているから鈴城君が心配そうに私を見るので

すぐに否定し首を横に振った。

「実はね・・・・・」

鈴城君に今日のお昼休みでの出来事を話した。

すると・・・

「別にいいんじゃない?」と予想外な返事が返ってきたが。

あまりの即答に本当にいいの?と思った私は確認の意味を込めて再度聞いて見たが

「いいよ」とあっさり了承した。

そんなに簡単にOKするような事じゃないと思うんだけどな~

だって私達って恋愛感情ゼロで新婚さん感ゼロのルームシェア感半端ない

普通じゃない夫婦だよ。

それ故にクリアしなきゃならないことは山積みで怠るととんでもない事が起きる。

鈴城君はその事に気付いていないようだ。

「OKしてくれたのは嬉しいんだけど・・・いろいろとクリアしないといけないことが
あるんだけど」

「うん」

鈴城君はカレーを食べながらあまり自分は関係ないみたいな顔をしていた。

「私たち部屋が別々だよね。好きで結婚したって事になってるのに
家庭内別居って事が2人にバレたらどうすんの?」

2人の鬼の様な顔が浮かび寒気がした。

「・・・・あっ・・そうか。寝室別だったね。じゃあ~その日だけ一緒ってことで
いいじゃん」
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