好きにさせて
保健室に入れば先生はいなかった。
保健室の中央にあるストーブの近くにパイプイスを置きそこにわたしは座る。
することねぇな。次読む新しい漫画でも見つけときゃよかった。失敗したなぁ。
スマホでも弄ろうとポケットから取り出した時、ガラッと保健室のドアが開いた。先生かと思ったが違うみたいで学校の生徒だ。
って、あ?
「あれ、四山さんじゃないっすか」
「何?きも」
目線を上げれば、怖いくらい整った顔面をお持ちの奴がいた。
久々に顔を合わせた気がする。
「まあまあ、久しぶり会ったんだし落ち着いて」
コトハも同じ事を思ったようだ。
「むしろストーブにあたってリラックスしてるところなんですけど、」
「あれ?ふとった?」
「酷いなオイ」
コトハもわたしの横にパイプイスを置き座る。
コトハはちょっとした有名人だ、その容姿のおかげで。
ふわっとした金髪、澄んだ瞳、笑うと幼い少年を思わせる笑顔、なんつーかこいつはモテるそりゃそうだ。心のすべてを持っていく勢いで惹いてくる。
本人は地毛だって言ってる金髪が地毛じゃない事なんか知ってる。ずっと隣で見てきたんだから。まあ、似合ってるから何も言わないけどさ。
「俺ら全然連まなくなったよな」
「そりゃもう年だし」
何も考えないようにボーッとストーブの火を見つめる。
「何かあった?」
「何も」
ずっと幼なじみやってるからこそめんどくさいことだってある。
佐倉 琴波、彼はわたしのことを知りすぎている。
「嘘つけ、今日からまた一緒に帰るぞ」