お願いだから、つかまえて
4. 間違い

4月の半ばになって新入社員がどっと入ってくると、社内の空気は一気にフレッシュになり、
足取りが軽くなるような気分だった。

もちろん実際は目に見えて忙しくなって、スキップなんかしている場合でもない。

「なんか…疲れる。新入社員って若い。私もあんなだったんですか?」

晴れて入社二年目となった、隣のデスクの友理奈ちゃんがいち早くげっそりしている。
友理奈ちゃんが新入社員たちと仕事上で直接関わることはないけれど、新入社員たちを除けば一番立場の低い彼女には、どうしたって起きる彼らのミスや、後回しになった雑務や、細かい修正作業などのしわ寄せが来る。仕事量は増えているだろう。

「友理奈ちゃんはしっかりしてたけどね。そーやって仕事量こなしてくことを覚えて、先輩になってくんだよー」

私はつとめて和やかに笑いながら友理奈ちゃんの背中を軽く叩いた。

「なあんて、派遣の私に言われてもだろーけどね。」
「いえ、昨年度自分がああだった時に指導してくれたのが理紗さんだったことの有り難みを、今になってしみじみ噛み締めているところです。是非正社員になって末永く私の面倒を見てください。」
「真顔か!」

嬉しかったけど、照れたので突っ込んでみたら、言った本人もちょっと照れくさそうに笑った。

「お昼ですね! 行きましょ。」

指導した私の影響というわけでもないだろうけれど、友理奈ちゃんもすっかりお弁当族になっていて、私達は連れ立って食堂へ行き、並んでお弁当を食べるのが当たり前になっている。
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