お願いだから、つかまえて
5. つかまえていて


やってしまったーー……

目が覚めた時にはもう朝陽が部屋に差し込んでいた。
隣で健やかな寝息をたてている佐々木くんの顔を、懲りずにやっぱり綺麗だなんて思ったりして。
幸せを噛み締めている場合ではなくて。

これは、まごうこと無き、浮気…
宮前理紗、29を目前にして、人生初の、浮気…

修吾の部屋に泊まったことだってなかったのに。
お祖母ちゃんが心配してる!!

「ううう…」

膝に顔を埋める。

…しかし、昨晩のあれは、すごかった…
考えたことなかったけど、あれが身体の相性ってやつなんだろうか…?

いやいや、酔ってただけ! きっとそうだ!

…でも、修吾と何十回としたって、あんなふうにはならなかった。

いや、だからそうじゃなくて…

「はあーーー」

深いため息が漏れる。
なんか私、佐々木くんと出会ってから、一人で脳内口論を繰り返してないか?

何やってんだろうほんとに、いい年して。

「…あ…起きました?」

それ、聞くの二回目だな…
ごそごそと佐々木くんが起き上がった。
かなり細いと思っていた身体も脱いだらしなやかに引き締まって、ちゃんと筋肉がついていて。
この身体に抱かれたんだと思ったら、赤面しそう…
じゃ、なくて。

「眼鏡…どこか知りません?」

切るのが面倒くさいだけなんだろうけど、前髪は邪魔なんだな。また掻き上げて、気の抜けた声でそう言う。
その気だるい雰囲気は、昨日まで感じなかった色気を感じさせた。

「あ、あの、たぶんそっち側じゃ…ない、かなと…」
「ああ…」
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