君色に染まった恋
またあの気持ち
卒業して、私は中学生になった。わざわざ受験までして陽くんとは別々の中学にかよってる。でも、意外に楽しい。
新しく友達もできたし、先生もいい先生だし。ただ、異性とはなぜか喋る勇気がなかった。陽くんじゃないんだし、一つ一つどうしてか陽くんと重ねあわせてしまう。
私は、吹奏楽部に入った。まぁ、友達に押されてだけど。
「凛子、もう時間過ぎてるよ。」
あっ、いっけねー。今日ピアノのレッスンがあるんだった。
「ありがとう、有紗。じゃあまたね。」
「がんばって。じゃあね。」
どうしよう、間に合わないよ。
慌てて廊下を走って角を曲がったら
「いってー。わぁ、ごめん、大丈夫?」
私は、恥ずかしさのあまり顔を下げてしまった。
「ごっ、ごめんなさい!大丈夫です。」
といいつつも、結構な出血だ。
「全然、大丈夫じゃないじゃん。保健室連れて行くよ。ほらっ。」
それは、もしかしておんぶ!?
さすがサッカー部、体がしっかりしてる。
「あっ、俺ー、新島遥輝。君は?」
「くっ、倉本凜子です。」
「へー、可愛い名前じゃん。」
初めてこの名前が好きになった。だって今まですっごく嫌だったのに…。おんぶされながらの会話。恥ずかしかったけど、ちょっぴり嬉しかった。
「じゃあな。」「ありがとうございました。」
だめだ、好きになっちゃだめなんだ。
また、おんなじことの繰り返しになっちゃう。でも、カッコ良かったなー。
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