Beautiful Life ?

02

 美景は出産後、落ち着いてから絵里を自宅に招いていた。

「わぁ、小さくて可愛い……!」

 絵里は生後一ヶ月になる美景の二人目の子供を抱いて感動を露わにする。この日は午後休を取り出産祝いを持って美景に会いにきていた。

「お茶とお菓子を用意したわ。食べましょう」
「でも、身体大丈夫? 私、長居するつもりは……」
「久々じゃない、遠慮しないで。お祝いだけもらってすぐに帰ってもらうなんてそんな無粋なことしないわ」
「じゃあ、ちょっとだけ」

 絵里は抱いた子供を美影に渡しダイニングテーブルに腰掛ける。互いに近況を報告しあっているうちに子供は美景の腕の中で眠りゆっくりとベビーベッドに下ろす。そして絵里の向かいに腰掛けると改めて礼を言った。

「お祝い、わざわざありがとう。上の子のぶんまで……」
「いいの。渡せなかったから。むしろ遅くなっちゃってごめん」
「ううん。そんなのは全然いいんだけど……こっちの紙袋は?」

 祝いの品が二品入った紙袋と別にもう一つ受け取っていた。

「あ、それはちょっとしたおみやげ」
「旅行? 今度はどこに行ってきたのよ? また海外?」
「はは、近場だよ。一泊で箱根に」
「もしかして、西野君と?」

 絵里ははにかみながら頷く。美景は幸せそうに微笑む絵里を見てほっとしたような優しい表情を見せた。

「付き合うようになった報告までは聞いていたけど、その後も仲良くやってるみたいね。絵里の顔を見れば分かる」
「うん」
「西野君にはあの子の検診や予防接種がはじまればまた時々お世話になるし……今度会ったら絵里の話をしてみようかしら。あの西野君がどんな反応をするのか想像できないもの」
「やめてあげて。照れ屋さんなんだから」
「嘘だぁ」
「ほんとなの! シャイで可愛いところもあるのよ」
「えぇ!?」

 弾む会話に自然と声も笑い声も大きくなる。寝ている子供の存在を思い出して、目を合わせて「しーっ」と互いに口元に人差し指を立てる。

「西野君って女の子の前でも堂々として誰とでも穏やかに接していて……いつも余裕のある感じだったから照れる姿とか想像つかないわ」
「私もこの歳になって再会してから知ったわ。気取らないし謙虚で、本当にとてもいい人。想像以上」
「わ、惚気てる」
「ごめーん」

 クスクスと肩を揺らして笑い合う。そして「懐かしいね」と声を揃える。

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