龍神のとりこ
30.巫女になるには
ふっ、、とコハクの身体が元に戻った。

途端、コハクはその場に膝から崩れ落ちた。

「コハクっ!」

後ろから抱きついていたトーコもバランスを崩し一緒に倒れこんだ。


シオウが最後の力を振り絞るように唸る。

トーコは何とかコハクを守ろうと倒れたまま彼の上に重なった。彼の身体に回した腕がぬるりと何かに触れた、、



だが龍神のあがきは呆気なく終止符を打たれることになった。

愛するジンが倒れてもまだあがこうとするシオウに飛び乗り、自分かコハクかどっちか、と迫ったからだった。

もちろん、龍神の答えは最初から『ジン』でしかなかった。


甘いくちづけを交わし合う。



「ジン!ジン!」

腕を真っ赤に染め半狂乱に叫ぶトーコ。

腕を染めているのはコハクの血だった。

コハクは胸に深い傷を負っていた。




やっと向き直ったジンは少し気だるげだった。
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