終わらない英雄の記憶
隠れ始めてから数分が経った。



壁から通り抜けるメイドの声は、サンダー王子が来たと報告しているようなものだった。



私はフードを被り、更に息を潜めた。



見事私の予想は的中で、メイドの声が遠くなるとポコッとレンガが押し出された。



すると、音も立てずに静かにレンガの壁は開き、中から人が出てきた。



サンダー王子だ。



私と同じようにフードを被り、目立たないようにしている。



サンダー王子は周りを見渡して、サッと走り出した。



『行くぞっ』


私はサンダー王子の後を追うように走り出した。
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