蝉鳴く季節に…
「俺…水谷にだけは誤解されたく無かったんだ」

「うん…」

「もう、来てくれないかと思ってた」

「…………うん」

「だから今、こうしている事がすげぇ幸せ」

「………うん…私も…」










杉山くん、杉山くん。











大好きだよ。




すごくすごく……大好き。









杉山くんの声、笑顔、言葉、体温………全てが愛おしく感じる。



こうして抱きしめられている自分さえ、愛おしく感じられる。







杉山くんが近くにいる。




それだけで、景色が変わる。



それだけで、ありがとうだよ。












「なぁ、水谷…こっち向いてよ」









抱きしめられた腕の中、顔を上げて杉山くんの顔を仰ぐ。




杉山くんの顔。

綺麗な顔。






ビー玉みたいに澄んだ瞳。








その瞳がゆっくりと、スローモーションの様に近付いてくる。



同時に、唇に伝わる熱……。














ねぇ、杉山くん。



あの時、私がどれくらい幸せだったかわかる?

どのくらい嬉しかったかわかる?


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