俺と結婚しろよ!
諦めるという決意。











スタジオに入って数十分。

あたしは、殴り書きした歌詞を見た。

その歌詞を見るだけで、視界がぼやけてくる。

泣きたくないのに、涙はとめどなく溢れてくるのだった。





中井茜や優理。

あたしよりもずっと美人だ。

あたしと比べると、あたしが愚かに思えるほど。







「咲良」




遠慮がちに悠真が呼ぶ。

あたしは涙を拭いて、悠真を見た。

悠真の隣には大輝がいて。

大輝も悠真と同じような顔であたしを見る。

だめだ、あたし。

チームメイトにこんな顔させちゃ。






「咲良、なにがあったか、そろそろ教えてくれる?」




遠慮がちに聞く大輝に、あたしは歌詞を書いた紙を手渡した。



< 292 / 451 >

この作品をシェア

pagetop