ほら、そうやってすぐ死ぬ。
Kはどこだ?



小指の痛みが消えていく、消えていく、消えていく……消えるよ。

しかしそれが何だって言うんだ? え?

Kがここにいない。じゃあ、目の前にいる、私に小指を切らせたマイク・タイソンは何者なんだ?

「いないってどういうことだよ?」

金子の問いにタイソンは「そのままだ。」と冷静に答えた。

しかし、私は冷静になれない。Kに会って、金子が近づいて殺す。その姿が瞼の裏に描かれたいただけに、ショックが大きい。

Kが今ここにいない。殺せないのだ。

殺せない、殺せない、殺せない、殺せない……殺したい。

見たい。人が死ぬその瞬間を。出来れば私の手で殺してやりたい。

目の前に人がいる……殺ってやろうか?

「まあなんだ。正直に話すと、Kはここにはいない。大体考えてもみろ。キミらみたいな奴らでも探し出せるようなところに、裏社会を牛耳る俺たちのボスを置いておくと思うか?」

思わない。でも、それはもっと頭の良い連中、組織の考えであって、気に入らないから殺す。しかも、それを金子のような裏社会の殺し屋に頼むという頭の悪い考えを持っているK率いる連中が思いつくようなことだとはとても思えなかった。見くびっていたのだ、私は。



< 171 / 219 >

この作品をシェア

pagetop