ほら、そうやってすぐ死ぬ。
決意の微笑



部屋に戻ると、戸倉さんはまだもろこしあんを食べている。

しかし、それでいい。それが最期の晩餐になるのだから、今のうちに好きに食べさせておけばいい。

K。戸倉香。香のKだったなんて、いやあ、盲点だった。

苗字って決まりはないもんね、そうだそうだ。

でも、何だかすっきりした。謎が解けるとここまで清々しい気分になれるのだろうか。

思えば、タイソンやボーイが殺された時期と戸倉さんが秋田から帰ってきた時期は重なる。タイソンは「Kはここにはいない。」と言っていたけど、あれは本当のことだったんだ。

いや、何より驚いたのは櫻子が同性愛者だったということだ。しかもその相手が戸倉さんだったなんて……いやあ世の中狭い。

あ、だから戸倉さんって結婚しなかったんだ。なるほど、そういうことか。

でも、ここまで知れたらもういい。材料は揃っている。

戸倉さんを……Kをこれから殺す。



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