ほら、そうやってすぐ死ぬ。
初恋バイオリン・ラブ



どこまでも続くひじき、ひじき、ひじき。

のたうち回ったミミズのようにも見えて、気持ち悪い。

そのひじきが辺り一面に敷き詰められ、集団でどこかへ向かおうともせず、まるで時が止まったかのようにじっとして、動かない。

それを横切るように銀色のレーンが敷かれ、黄ばんだクリーム色のカーテンで周りを覆われ、その奥には火災報知器、蛍光灯、換気扇がある。

左を見ると、木製の棚が二つ。一つは前が両扉になっていて、中は三段。もう一つは11インチほどのテレビが備え付けられていて、引き出しには小さな鍵付きの金庫があり、下の段はホテルに置いてそうな小さい冷蔵庫が音を立てている。

「三田さーん。三田紗栄子さーん。」

ナースがカーテンの隙間から顔を出し、ああ、そうか。

やっぱり私は死ねなかったんだ。


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