Tokyo Dark Side
そんな捜査での心情を、聞いてくれる相手がいる。

それが診療所の女医、美奈。

倉本にとっての心の拠り所は、巽と彼女だ。

医師である美奈は、いわばカウンセラー。

尤も巽は、倉本と美奈はそれ以上の関係と勝手に勘繰っているのだが。

「そういうのを、下衆な勘繰りと言うんだ」

呆れながら診療所の扉を開けた倉本は。

「!!」

その内部の荒れ様に言葉を失う。

散乱した医療器具やカルテ。

引き千切られたカーテン。

引っ繰り返された薬品棚や診療台。

そして、診療所の中央に立つのは永瀬。

「おい永瀬!」

巽が永瀬に駆け寄る。

「何があった!女医はっ?」

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