Tokyo Dark Side
「なら急いだ方がいいな」

更に別の声が割って入った。

その声に反応する暇もなく。

「!?」

永瀬の喉元に忍刀が、象男の首筋にアイスピックが突きつけられた。

何処に潜んでいたのか。

亮二と伊庭が姿を現した。

「妙な真似をすれば殺れと言い含めている。動くなよ、公安」

永瀬に言い放った亮二は、視線を象男に向ける。

「お前はどうする。俺達は暗殺者だ。神罰など恐れはしない」

「…そんな針の一刺しで、マハルーチカの化身を殺せると思うか」

「試してみるか?」

象男と亮二、両者の間に息苦しいほどの空気が張り詰める。

咳払いの一つでさえ、殺し合いの切っ掛けとなってしまうような。

そんな重く緊迫した空気。

常人の環などは、その場にいるだけで窒息してしまいそうだ。

その空気の中で。

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