Tokyo Dark Side
「あーあ、雪村の手柄を横取りしやがってよぉ」

歩いて来た松岡が、伊庭に言う。

「……」

無言のまま、血を拭って刀を背負った鞘に納める伊庭。

「…手柄なんてどうでもいい。依頼が遂行できれば問題ない」

亮二もまたアイスピックをしまう。

「それに…正義なんて関係ない。先に殺しを依頼したのがこの工場長なら、俺はここの社員や事務員でも殺していた」

銭金ではない。

大義や思想ではない。

依頼された殺しだけを、無感情に淡々と遂行する。

それが亮二達、組織の暗殺者。

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