Tokyo Dark Side
その時だった。

病室のドアをノックする音。

「どうぞー」

環が言うと。

「邪魔するぜえ」

1人の男が病室に入ってきた。

ブラックレザーのライダースーツを着た大柄な男。

彼は手に持った薔薇の花束を。

「いつもグラビア見てるぜぇ、怪我は大丈夫かよ?」

環に差し出した。

「は、はぁ…どうも…」

小首を傾げながら、花束を受け取る環。

見舞いに来てくれたのだろう、気持ちは嬉しいが、この男は一体誰だろう。

名前を訊ねようとした矢先。

「煙草が吸いたい。屋上に行こうか」

巽は男を病院の屋上に誘った。

< 84 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop