歪な塔の人
図書室の未遂:2月第四木曜日

昨日と夜の中間色

君が愛したこの星には、
不純物が多すぎた。

生き残り食べていくだけじゃ足りないと、夢をみる人間が多すぎた。
世界の中で
亀ほど足の鈍いものはいないし、
境本ほど
生きづらい理想を持った
人間もいないんじゃないだろうか。

冷たい冷たい水の中に手を入れる。
この狭い池の中で
しか生きられない者より、
境本は不幸だ。
恵まれた人間に
生まれてしまったことで、
世界をしり、
己の醜さを知った。
可哀想なイキモノ。

内側に秘めた
意志にもならない言葉に触れて、
その恐怖に触れて、
俺は君にどれだけ近づいたんだろうか。
今、君から見て
俺はどこに立っているんだろうか。

触りたい。
君が作った傷に。
抱えた痛みの真髄に。
君の恐怖に。
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